3月10日からNetflixで配信が始まったと聞いて、
公開から4か月・・・、早いな
と思いながら、感想を残してみようかなと思い立ったので書いてみます。
映画「正欲」は、私にとって非常に良い映画でした。
私は考えさせられる映画というのが好きなのですが、「正欲」は、まさにそういった映画であり、
また私自身のものの見方、捉え方に大きく影響した感じがして、何だか嬉しくもなりました。
「観る前の自分には戻れない」
このうたい文句も全く大げさじゃなく、ほんとだ!!と思います。
一番印象強く残ったシーンは、夏月と佳道が水と楽しそうに触れ合っていたところです。
勢いのある水をコップで塞いでいたときの夏月の笑顔、塞がれた水がきらきらしていたさま、その映像がとてもすてきでした。
そんな夢中になっている姿を見て、私にはこういった対象があるだろうかということを考えてみたくなりました。
一つ、これかなと思ったのは、薄い生地です。
私は幼い頃から、布団カバーのような薄い生地をつまんで、指の腹で擦り続けることが好きでした。ざらざらとする感覚が気持ちいいんです。
アウターやジャケットの裏地なんかもとても良くて、それらを着る冬場は、袖口の裏地をついつい擦ってしまいます。
もう一つは、千本鳥居。
鳥居に限らずですが、それなりに大きいものが、幾つも規則正しく連なっていることに興奮するなと改めて思いました。
連なっている物の周りだけが異空間のように見えて、時々、吸い込まれたい気持ちになります。
ただ、「正欲」を見てしまうと、なんか好きという範囲に収まっている状態では寂しく感じてしまって、
今までよりも好きを自覚したものたちに、もっともっと気持ちを高ぶらせたいと思うのです。
好きなものと向き合えていた夏月と佳道が、本当に羨ましく感じました。
映画の最後の最後、夏月が啓喜に放った言葉。
私は多分、啓喜のような大多数側の人間なので、夏月の言葉には殴られたように感じました。
なんて気持ちいい終わり方だろう。
そう思えました。